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個人の趣味のブログです、ご了承下さい。 ときめきメモリアルGSシリーズ二次創作ブログですが、版権元などとは一切関係ありません。
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第五話



「恋愛するってむずかしいね」

 これは春の私の発言。



 桜がまだ舞ってた頃、カノコは親友の花椿カレンの部屋にお泊りしに来ていた。もちろんキューティー3の一人、宇賀神みよも居る。

 高校卒業以来のお泊り会で、カレンはもうすぐファッションの勉強に海外に立つというので、しばしのお別れ会もかねていた。普段似会わないという乙女チックなワンピースをみよとふたりで餞別にプレゼントすると、カレンは照れくさそうに、そのくせ目尻に涙を浮かべて笑っていた。
 着せてみると案外アレンジしだいで、カレンにとても似合うピンクとフリルに溢れた可愛いワンピだった。
 その後はカノコとみよを着せ替え人形のように、あの手この手とカレンの趣味の服を着せられるファッションショーだったが、三人とも終始笑っていて、これからも変らない友情を確かめ合っていたのかもしれない。


 ひとしきりはしゃぎ倒した後、ふとんに入ると、カレンがニヤニヤとカノコに恋話を振ってきた。

 二人には琉夏と付き合いだした事を報告済みだが、その後宜しくやってるのかと前のめりに問われる。

 そこで冒頭の答えだ。

「桜井ドラゴンと恋愛は難しいってこと?」
「ううん、琉夏くんは好きなんだよ。ただ、ほら、私たち友達だったから、恋人同士ってなにするのかイマイチ…」
 小首を傾げるカノコに、みよはただ黙って見ていた。
「え~恋人同士なら、他人と違うでしょ?まず触れ合いの度合いが濃くなるでしょ?」
「琉夏くんもともとスキンシップ好きだから…」
「あ~よく抱きついてたわね…」
「うん、手を繋いだりとかも」
「…それだけ?」
「ん?」
 それまで黙っていたみよが口を開く。
「カノコはそれ以上を求めないの?」
「それ以上?」
「ふざけて抱きつくのや、手を握るのとは違う、本当の触れ合い」
「……本当の?」
「溢れる気持ちを伝える触れ合い」
「…チューじゃないキスとか?」
 みよの言葉にカレンが補足する。
「……」




 触れたいと思う気持ち?











 梅雨の手前の天気予報外れの雨の日。
 デートに遅れてきた理由を、待ち合わせのカフェで待っていた琉夏に告げながら、傘を借りた話と喫茶店アルカードと佐伯瑛という青年とその彼女について語った。
「佐伯…さん、うん、店の先輩だ」
 琉夏も同じバイト先の先輩である事を認めた。相手には琉夏の事を言いそびれたが、やはりそうなのだと知り、ちゃんと傘が返せそうな目処に安堵する。
「よかった~」
「そっか、なんならオレが返しとこうか?」
「ううん、ちゃんとお礼したいし自分で行くよ」
「そう?」
「うん、…でも琉夏とバイトが被ってる時間にしようかな?」
 なかなか逢える日の少ない彼氏の、働いている姿も見てみたい。高校時代は同じバイト先だったが、花屋とカフェはまた職種が違うので興味深い。
「いいよ、確か金曜と土曜があの人のシフトだからその辺…来週辺り来る?」
「うん、閉店前に行ったら琉夏くんと一緒に帰れるかな?」
 その後レイトショーの映画を見るのもいいと提案する。大学生になって門限が大幅に遅くなったので、夜に琉夏と一緒に居られるのは嬉しい。
「あ~~うん、でも映画は…な…」
「ダメ?」
「一応受験生だし、おれ」
「あ…」
「夜は勉強しないと。オレ夜型だから、そっちのが捗るんだ」
「…そっか…そだね。ごめん」
「謝る事ないって、本当はたくさんお前と遊びたい」
 けど一応ケジメな?と琉夏が手を胸の前で合わせて、オレこそゴメンねをする。カノコは微笑み首を横に振って、話題を変えた。
「おうちのほうはどう?」
「ん?修理?うん、順調。後は中身をボチボチ」
「手伝える事ない?差し入れ持ってく」
「マジ?」
「うん、おむすびでもホットケーキでも」
「やった、エビフライも?」
「はいはい」
 彼にこんな風に甘えられるのは、嫌いではない。

 華麗な琉夏のキレイな笑顔が、自分だけのモノの様に思えてなんだかくすぐったかった。


 それから二人で前々から見たかった映画を見て、夕食を済ますと琉夏にカノコは自宅まで送ってもらった。

 大分日が落ちるのが遅くなったとはいえ、七時をすぎて周辺は暗がりになっていた。
なんとなく今日見た素敵なカップルを思い出し、カノコから琉夏の手を握った。琉夏は最初驚いていたが、柔らかく握り返してくれた。

 嬉しかった。

 求めた事が返ってくる。きっと彼氏彼女とはそういう事なのだ。とカノコははしゃぎたくなるほどの喜びを噛みしめる。


『溢れるほどの気持ちを伝える触れ合い』


 ふいにみよの言葉が脳裏を掠めた。

「残念、もう着いた」
 琉夏の言葉に自分のうちの、玄関前にたどり着いた事に気づいた。
「……琉夏くん…」
「ん?」
 ここでいつもならバイバイをして、デート終了だった。けれど今日はいつも以上に別れ難い思いに駆られる。
「……」
 それを言葉に出来ず、カノコはただ真っ直ぐ琉夏を見つめた。
「……どしたの?カノちゃん」
「……」
 そんな質問して欲しくない。我が侭で勝手な思いがカノコを突き動かした。
 伸ばした手で、琉夏の服の裾をぐっと掴み、背伸びして目を閉じた。

 さっきみたいに伝わればいい。

 そしてその思いを返して欲しい。

「……」
 一瞬琉夏の体が身じろぎしたことが、掴んだ裾から伝わった。
 こういうのはまだダメだったろうか?と失望を抱えながら目を開こうとして、大きな掌が視界を遮る。
「琉夏く…」
 頬に柔らかな感触。
「…おやすみ、カノちゃん」
 すっと手をどけられると、琉夏が瞳を細めて微笑んでいた。
「……おやすみ…なさい」
 そのまま去って行く背中に、カノコはそう返すのが精一杯だった。



 ぼんやりしたまま、カノコも踵を返して自宅へと入る。そのまま「ただいま」も適当に部屋にたどり着いた。
「………」
 扉を閉じるとヘタンとその場に座り込む。
「…あ…れ……」
 琉夏の唇が触れた右頬に、手をやる。

 求めていたのはキス。

 それが唇ではなく、頬だったのは残念な気もする。

 けれどそれより、どうしてだろう。

 どうして琉夏は、微笑んだのか……、こちらの胸が苦しくなるほど、


 切なく、儚げに


『溢れるほどの気持ちを伝える触れ合い』


 みよにそう言われた時、実はカノコは違和感を覚えた。いや、ずっと恋愛の仕方、彼氏彼女という関係に戸惑いを感じていた時から、感じていたのだ。

 でも、違うってずっと心で否定して、見ないよう、考えないようしていたのかもしれない。




 夕日の教室で手を繋いで、想いを伝え合ったあの日以来、


琉夏はカノコに、自ら触れて来る事が、まったくなくなったという事を…。




 考えすぎだろうか?実際、今日は頬にキスされたんだ。そりゃあ、カノコ自身から強請った事は否めない。けれどキスを……。


 唇に望んだキスを、頬へとずらされたなんて…




 それってどういう事なのだろう。




 恋愛スキルがまったくといっていいほどないカノコは、ただ呆然と、気づいてしまった事実に、動揺することしか出来なかった。


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